ムートン毛皮のQ&A <1> Q:ムートンとは何ですか? A:緬羊の毛皮をなめして貴化処理(毛伸し、艶出し処理)を施したものがムートンです。これをいろいろな色に染め上げます。緬羊皮がその語源となっています。 <2> Q:ムートンの名称は何に由来しているのでしょうか? A:ギリシャ神話に金色の羊毛皮を求めて航海に出る話があります。これからきた名称、つまり金色の羊毛皮“MOUTON DORE”のことでフランス語ですが、現在では世界各国共通語となっています。“マトン”(MUTTON)は英語で羊の肉のことです。参考のため。 <3> Q:原料である緬羊の種類は何ですか?また、世界で羊の多い国はどこですか? A:ムートンの材料はメリノ系が最も多いと言えます。また世界で一番多く羊を飼育しているのは豪州の約9,000万頭(以前は1億84万頭)、毎年約30%を屠殺しております。その他にソ連、 中国、ニュージランドなどの国が続きます。頭数は少なくてもスペイン、アメリカ合衆国も産地として重要です。 <4> Q:ムートン製品は外国製品と国産品とではどう違いますか? A:ていねいに美しく仕上げたムートンを寝具インテリアやカーシートに使っているのは日本だけです。ですから、日本製のムートンの方が、外国製品よりも品質が良いと言えます。 併し、最近は中国の1,2メーカーは日本製以上のものも製造しています。外国製品の中には縫製加工が雑であったり、色落ちのする様なケースもありますので、注意が必要です。 <5> Q:ムートンはいつごろから製品化されたのですか? A:緬羊の毛皮をなめして貴化処理を施した、いわゆるムートンの製法が確立したのは、ハンガリーで羊毛を伸ばし固定する技術が開発された1928年頃と言えます。その後ヨーロッパ、アメリカで技術が改良され、今では多くの国がムートンをいろいろな用途に使っています。 <6> Q:ムートン製品にはどの様なものがあり、どんな用途に利用されているのですか? A:ムートンは断熱性、吸湿性と保湿性を兼ね備えていますので、衣類、敷物、カーペット、クッション類の他、最近ではその機能性が重視した寝具用シーツ、医療用ベットパット等に利用されることが多くなりました。また研摩用として一般産業資材にも利用されています。 <7> Q:ムートンと他の毛皮の違いは? A:羊毛特有の機能と耐久力を持っており、また毛皮として最も丈夫な部類に属しております。つまり機能的で、実用的で、利用範囲の広い毛皮と言うことです。 <8> Q:毛の弾力性はどうでしょうか? A:1平方センチメートルに約5,000本の直立した羊毛の1本1本が柔かい弾力を生み出します。毛の根本の小さなちぢれもスプリングの役目をしています。 <9> Q:ムートンは兎等他の獣毛のように毛が抜けるようなことはありませんか? A:兎毛等とは皮の組織構造自体が全然違いますので、抜け毛の心配はありません。 <10> Q:長く使っていると皮が硬くなったり、毛が固まったりしませんか? A:使用中に皮が硬くなることはありませんが、長く使っていると毛がもつれてくることがあります。この場合、化繊製品とは違いますので、毛皮専門のクリーニング店へお出しください。ほぼ元通りの姿になります。 <11> Q:吸湿性はどうですか? A:緬羊毛皮の特殊な皮質細胞の動きによって素晴らしい吸湿性を発揮する一方で、保湿性も優れております。この相反する性質が相互に複雑な作用を起こし、常にサラッとした感じを保ちます。羊毛の吸水率は木綿の約2倍以上、アクリルの約8倍以上(公定水分率)ですのでムートンの吸水力の高さがおわかりいただけると思います。 従って寝具用のベットシーツ等に最適の使用感となります。 <12> Q:直射日光に当っても黄変しませんか? A:毛皮そのものに影響はないのですが、染めたものは少しずつ褪色することは避けられません。できるだけ直射日光は避けることです。 <13> Q:どのくらい長持ちしますか? A:ムートンは毛皮の中でも最も丈夫なものです。化繊製品とは違いますし、毛の抜けることも心配ないので、お手入れを上手にして頂ければ、長い間ご使用できます。 <14> Q:ムートンの値段は毛の質によって決まるのですが。それとも毛の長さで決まるのですか。大きさにもよりますか? A:販売されている寝具、敷物用の多くの場合、大体は毛の密度、毛の長さ、皮の大きさによって値段が決まります。ただし、ガーメント用の場合にはこの限りではありません。 <15> Q:染色しても品質は変わりませんか? A:品質は変わりません。ウールの場合と同じです。 <16> Q:クリーニングで色が落ちませんか? A:クリーニングで色が落ちるとはまず考えられまえん。 <17> Q:染料は有害ではありませんか? A:毛織物の染色と同様にお考えいただいて結構です。 <18> Q:ムートンは寝具として非常に良いとのことですが、何故ですか? A:保湿性(断熱性)、吸湿性、保湿性、弾力性が優れており、寝具には最適です。夏涼しく、 冬暖かいムートン寝具は特にお年寄や寝たきりの方への贈りものには最適です。 又、体圧分散作用により疲れを取り、毛に含有されているラノリン等により肌にも大変いいです。 <19> Q:療養中の人たちや寝たきりの方の様に、床ズレに悩ませられている方々には非常に良いとのことですが何故ですか? A:特に長期療養の方に生じ易い床ズレの原因は、「湿度」「圧力」「摩擦」が主な原因と言われます。ムートンの吸湿性と弾力と柔かさは、床ズレ防止に役立ちます。欧米では床ズレ予防として病院の常備品としてかなり以前から使用されています。 <20> Q:専門のクリーニングをする場合は、どこへ出せばよいでしょうか? A:毛皮のクリーニングは、その品物によって処理の仕方が異ります。そのため毛皮専門メーカーに委せることが良策です。使用状態により処理方法を判断します。(加脂剤添加等) <21> Q:乾かすときは必ず日陰にしなければいかませんか? A:直射日光を避けるために、必ず陰干しください。細い棒で軽く叩いたり、金属製の櫛やブラシで軽くこすって毛並を整えてください。(この場合、表皮を傷つけぬように充分注意してください) <22> Q:ムートンの保管はどうすればよいのですか。その方法を教えてください。 A: 他の毛皮のようにあまり保管場所で心配することはありません。直射日光のあたらない、 湿度の少ない涼しい場所に保管してください。できれだけ折りたたまないようにして毛糸、セーター 、ウール製品などと同じようにして頂ければ結構です。 <23> Q:保管には必ず防虫剤を入れておく必要がありませんか? A:基本的には不要ですが、もし入れる場合には用心のために市販の防虫剤のセロファンの角だけ切って防虫剤が毛に直接触れないようにのせてください。 <24> Q:雨に濡れたり、水にこぼした時はどのようにすればよいでしょうか? A:基本的に程度によりますが、日陰干してください。表皮には防水作用があるので水分の浸透はありません。 <25> Q:ムートンにしみがついたとき、とっさに何をすればよいのですか? A:素速く乾いたタオルで拭き取り、そのあと中性洗剤をぬるま湯に溶かして拭き取ってください。しみの性質によってベンジンで軽く叩くことも有効です。いずれにせよ、汚れがひどい場合は、 専門のクリーニング店に任せた方が安心です。 <26> Q:ムートン製品は普段寒い時に使用しますが、年中使えるものですか? A:保湿性(断熱性)、吸湿性、保湿性、弾力性に富んでいますから年中使えます。医療用、 自動車用シートなどは、むしろ夏の方が効果が良く判ります。 <27> Q:ムートン製品は他の毛皮に較べて高いですか、安いですか? A:面積から計算すると安い毛皮になります。一番機能的で、実用的ですので、手軽にお買い求めいただけると思います。特に、毎晩使用するベットシーツ等の場合に毛皮コートと異なり大変割安に使えます。 <28> Q:クリーニングはどこへ出せば良いでしょうか? A:約3〜4年に1回は毛皮のクリーニングを扱っている専門のクリーニング店にお出しください。 |